私たちはまず,宮ヶ瀬バスターミナルのそばにある
インフォメーションセンターで所長さんから
ダムについての説明をうかがいました。
インフォメーションセンターのあるあたりは,
ダム建設によって水没した旧・宮ヶ瀬集落の代替地の1つで,
水の郷と呼ばれています。
谷をはさんで東側にある宮の平地区が
小中学校を中心とした居住地区であるのに対して,
この水の郷地区は宮ヶ瀬湖に面する
観光地区として整備され,
バスターミナルと飲食店・土産物屋が並んでいます。
宮ヶ瀬湖や丹沢の自然を学ぶことができる
ビジターセンターや,
ダムについての案内をしてくれるインフォメーションセンターも
ここにあります。
インフォメーションセンターからバスで5分ほど移動した
展望台から堰堤ごしに南東方向を展望しました。
堰堤の向こうに見えるのは座間市のあたりの
相模原台地です。
そのさらに向こうには横浜のランドマークタワーが
霞んで見えたのですが,残念ながらこの写真には写っていませんね。
ちょうどこの時期,ダムの周辺の山の杉は花盛り。
花粉アレルギーの人はだいぶ苦労していた様子でした(私も含めて)。
それはともかく,
見ていただきたいのは切り取り面の様子。
ここは堰堤の北側にある山なのですが,
ここから山を1つ切り崩してダム建設用のコンクリートに必要な
砕石が採取されました。だから原石山とよばれていたそうです。
その後,この斜面はコンクリートで固められたのですが,
その際全面にコンクリートを打つのではなく,
隙間をたくさん作ってそこに木の苗が植えられています。
これから十数年あるいは数十年するとここに森がよみがえる,
ということのようですが...
その時の様子を見てみたいものです。
宮ヶ瀬ダムは水資源の確保と発電を
主な目的とする多目的ダムです。
発電のための取水口が堰堤の中央部にあるタワーのようなもの。
取水口はダム湖の上層,中層,下層にそれぞれ開いていて,
その時の必要に応じてそれにふさわしい温度の水が取水できるように
なっているそうです。
今度はダムの下流側にまわってそちらから堰堤を見上げました。
大きいですね。画面に全景を入れることができません。
ダムから放水をする時には中央の水路を水が流れます。
まずは中段の穴から。
それでも足りない場合には上段の穴から放水されることになるのですが,
普通はそこまで行くことはないということです。
石小屋ダムは宮ヶ瀬ダムの少し下流側にあって
これで1つのセットを構成します。
宮ヶ瀬の発電所は揚水式発電という方式を採用していて,
昼間発電に使った水をここに貯めて,
電気の余る夜間にその水を宮ヶ瀬湖Mに汲み上げて
もう1度発電に使う,というわけです。
このダムのデザインには,かつてこの近くの中津川に架かっていて
宮ヶ瀬ダムの建設にともなって撤去された
石小屋橋をイメージしたものだそうです。
宮ヶ瀬ダムと石小屋ダムの間には
かつての中津渓谷の様子がほんの少しだけ残っています。
この写真は宮ヶ瀬ダムの堰堤の下から下流側を見たものですが,
川の左側の岸に水没する以前の道路が見えます。
以前はこの道路が半原と宮ヶ瀬を結び,
中津渓谷を歩くハイキングコースになっていたのですね。
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1998. 5.30 野外研修委員会