湘南地区No.4-1 横浜市側にも改札口ができた大船駅(鎌倉市・横浜市栄区)

2007年12月作成

 

1.鎌倉市・横浜市にまたがる大船駅

JR大船駅は、鎌倉市と横浜市栄区との市境となっている砂押川がホームの中央部を横断している。このため、ホームが両市にまたがっているという珍しい駅である。しかし、1888(明治21)年11月1日の開業以来、現在の鎌倉市側のみに改札口が置かれてきた。

 高度成長期からは横浜市側も宅地開発が進められ、栄区などの通勤客は笠間十字路を経由して、ヤマダ電機(かつては大手スーパーのニチイ→のちサティの店舗であった)の前に設置されたバスターミナルに着くバスを利用している。目の前にあるホームを見ながら、ぐるっと回って鎌倉市側の改札口(現在の東口)まで行かなくてはならなかった。このため、栄区の住民から横浜市側にも改札口を設置するように繰り返し要望が提出されたが、なかなか実現しなかった。


2.駅周辺の再開発と笠間口の開設

 長い間の住民の要望がついに実り、2000(平成12)年から行われた横浜市側の再開発に合わせて、横浜市側にも横浜市とJRが共同で改札口を新設することになり、あわせて横浜市側で再開発も行われた。この再開発により、古い商店街(写真4)が壊され、その跡地に「ルリエ大船」が建てられている。

2006(平成18)年2月2日に、念願の笠間口(北改札)が開業した。同年2月に同時開業した構内店舗(いわゆる駅ナカ)と同年9月に従来からの改札口(南改札口)周辺をリニューアルして開店した店舗からなる「Dila大船」も多くの客でにぎわっており、駅構内の風景も一変した。

 かつて大船駅で降りて通勤していた際、横浜市側へ向かう駅前の歩道が極端に狭く、雨の日は傘を差してすれ違えないほどで、人どうしの接触や傘をめぐるトラブルをよく見かけた。笠間口の開設はすれ違う部分の距離を減らしたのでそのトラブルも減った上、ホーム内を横浜市側に戻って(つまり東京よりの車両に)乗車していた人は通勤時間も片道5分程度短縮できたなど、利便性が向上した。

   一方、鎌倉市では、東口に現在の駅ビル「ルミネウィング」に隣接して、店舗・住宅・公益スペースからなる地上24階・地下1階の高層ビルを建築する計画を立て、平成23年度にはビルを着工したいとしている。

                            【県立鶴嶺高校 能勢博之】


写真1 現在の笠間口の位置に設置された、横浜市側再開発のための現場事務所。吉野家との間に架かる橋が大東橋で、その下を砂押川が流れており、ここが横浜市と鎌倉市の市境。(2000年2月撮影)



写真2  写真1とほぼ同じ方向から見た大船駅笠間口。(2006年8月撮影) 後方のビルは、横浜市側の再開発により建てられた「ルリエ大船」で、1階が店舗、2階以上は住宅となっている。以前ここには、写真4のような商店が並んでいた。



写真3  大船駅笠間口(2006年8月撮影)



写真4 写真2の「ルリエ大船」のビルの位置にあった商店 道の右側の店舗は、現在もヤマダ電機の前にある。

(2006年8月撮影)




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