川崎地区No2-1  川崎駅西口の再開発(幸区) 

   2007年8月作成

 


1.川崎駅西口の再開発  

 現在(2007年8月)の川崎駅西口には、東芝工場跡の広大な空き地や、高層のオフィス・住宅、そして2006年9月28日にオープンした大型商業施設商業施設「ラゾーナ川崎プラザ」が並んでいる。 

 かつて京浜工業地帯の重工業都市と知られた川崎市ではあるが、市内では1970年代から、公害問題や老朽工場の建て替えのための広大な工場敷地を求め、地方への工場の移転が始まった。90年代以降の長い不況、製造拠点の海外移転や、それに加えて東京に近い立地の良さから企業の流出は加速した。川崎駅西口では、80年代末から90年代半ばにかけ明治製菓の跡地に、川崎テクノピア、ソリッドスクウェアなどの諸施設が建設された。今世紀に入ってからは東芝跡地の再開発がはじまり、街の様相は一変しつつある。


2.ラゾーナ「開国」 

 東芝堀川町工場の跡地に、2006年9月28日、ラゾーナ川崎プラザが開業した。敷地面積72,303平方メートル、店舗数287店、首都圏最大級のショッピングセンターで、年間の来場者数2,000万人、売り上げ350億円を見込んでいる。川崎市内の買い物客は、商業施設の充実した東京や横浜に流出する傾向にあったが、この施設は市内だけでなく、都内や横浜市内からの客をもターゲットにしている。ラゾーナの「開国」は、政令市の中で、小売り・問屋業の分野が弱かった川崎市の救世主となるか注目される。


写真1 建設中のラゾーナ(2005年9月撮影)



写真2 ラゾーナが開業した日の様子(2006年9月)



3.ミューザ川崎  

 「音楽の街川崎」の中核をなす施設がミューザ川崎である。ミューザは、04年に開業し、日本初のワインヤード(中央のステージを客席が360度囲む)方式の本格的なシンフォニーホール、商業施設、オフィスビルをあわせた複合施設である。ミュージックホールは全1,987席有り、東京交響楽団・神奈川フィルが本拠地としている。そして、設備、企画、交通の便利さなどから開業1年間の稼働率も高い。ミューザは旧JR川崎電支区(変電設備などがおかれていた)跡地につくられ、周囲の市営住宅・JR社宅跡も商業・住宅ゾーンとして現在整備中である。


写真3 ミューザ川崎(2006年7月撮影)



4.明治製菓とソリッドスクウェア  

 明治製菓の前身である横浜製糖が、この地に工場を構えたのが1906年のこと。川崎市は「工都」として発展してきた。明治維新後の川崎の町は、鉄道が開通した影響で一時は宿場が衰退し、さびれた農村であった。そして、川崎の起死回生をかけた工場誘致第1号が横浜製糖であった。その後関東大震災で工場は崩壊するが、1925年に明治製菓がヨーロッパの城を真似て、新たにお菓子の城をイメージした菓子工場を建設した。

 1980年代末に、西口再開発の先駆として、明治製菓跡地にかわさきテクノピア、ソリッドスクウェア等の研究施設、オフィスビルの建設が始まった。1988年には、この地の開発を巡り、川崎市助役に対する贈収賄が発覚し、以降政界を揺るがすリクルート事件に発展した。

                            【釜利谷高校 井上 達也】

写真4 ソリッドスクェアの内部 石のオブジェ(2005年9月撮影)




写真5 「リクルートビル」(1990年ころ撮影)




Homeへ