県央・県北地区 No6-03 県央・県北地区の昆虫分布地理の変化
2008年6月作成
県央・県北地区 No6-03 県央・県北地区の昆虫分布地理の変化
2008年6月作成
1. 県央・県北地区を一気に北上する「近代5種」とは?
「近代5種」などとユニークな表現をされるのは、昆虫分布地理学の分野で話題になっている最近10年以内に分布域を拡大させ、県央・県北地区を含め神奈川県を一気に北上した南方系の蝶のことをさしている。神奈川県内の目に見える温暖化の例として、調査研究が進められている。
2.最近こんな綺麗な蝶々を見ませんか?
「オレンジ色で、ちょっとトロピカルな雰囲気を漂わせている美しい蝶を見ませんか?」
名前は「ツマグロヒョウモン」という種類の蝶で、(左がオス、中央がメス。)写真は筆者の写真は自宅庭(海老名市)のでの記録であるが、春から秋にかけて、県内でごく普通にこの様な光景が見られるようになった蝶である。
以前は九州南部など温暖な地域に分布する蝶だったが、(この蝶を懐かしいと思われる方は、九州、沖縄出身者が多いはず)、日本列島を急速に北上し、10年程前に神奈川県に到達した。ちなみに幼虫の食草はビオラやパンジー、ニオイスミレ等である。
かつて、ルナールは「博物誌」の中で、蝶々のことを「二つ折りの恋文」と表したが、この蝶は、「地球温暖化」の手紙ということになるのだろうか。
3.その他の県央・県北地区を一気に北上する蝶
ムラサキツバメ(相模原市) ナガサキアゲハ(海老名市) クロコノマチョウ(厚木市)
ツマグロヒョウモンと同様に、この種の昆虫の分布の北上東進スピードの上昇が現在昆虫分布地理学上の話題になっている残りの4種類(内1種「アカボシゴマダラ」は移入種)がここにあげたもので、県央・県北地区をはじめ県内各地に生息域を広げ、その発見や北上に新聞等を度々賑わしている。
生命の星地球博物館監修の『理科の地図帳』(技術評論社)にもその分布拡大についてわかりやすく説明されている。
【上溝南高校 谷田 和久】
アカボシゴマダラ(海老名市)