湘南地区No4-8 隘路解消となるか?増設進む相模川の橋 (茅ヶ崎市・平塚市)


2008年10月作成・2011年11月改訂

 

1 橋の間隔が最も開いていた部分に新設された湘南銀河大橋

 どの川でも橋とその周囲で渋滞が発生しやすいが、とりわけ相模川はそれが著しい。相模川が他の川以上に隘路となっている理由として、橋と橋の間隔が長いことがあげられる。

湘南銀河大橋の開通までは、相模川の河口に位置する国道134号線の「湘南大橋」から次の国道1号線の「馬入橋」までが約1.5km、その次の「神川橋」(平塚市神田地区と寒川町を結ぶ)までは約4.3km、さらに3.3kmという間隔であった。酒匂川では河口側から0.8km、1.2km、1.0km…の間隔(西湘バイパスは除く)となっている。こうして比較すると、相模川の橋の少なさが目立つ。

間隔が最も開いていた馬入橋と神川橋の間に架けられたのが、湘南銀河大橋である。片側1車線のみで暫定的に開通したのが1998 (平成10)年10月で、その後片側2車線の全面供用や平塚側の国道129号線への接続道路も完成している。湘南銀河大橋は、相模川の両岸にある幹線道路を結んでおり、他の橋のバイパス的な役割を果たしている。この橋の開通により、周囲の橋の渋滞は以前と比べ大幅に改善している。


2 国道134号線の湘南大橋を4車線に

相模川が隘路となっている理由として次にあげられるのが、国道1号線や国道134号線といった幹線道路なのに、片側1車線しかないことである。以前の橋が老朽化したため、湘南大橋は1986(昭和61)年、馬入橋は1980年、神川橋は1992年に、新しい橋に架け替えられた。当時既に慢性的な渋滞を抱えていたが、新しく架けられた現在の橋も片側1車線のままである。

国道1号線や国道134号線は、地域の主要な道路というだけでなく、週末には伊豆や箱根へと向かう車が利用する。茅ヶ崎市内にはこの2つの国道に平行する道路がほとんどなかったので、古くからの細く曲がりくねった生活道路に行楽の車が流入して深刻な渋滞が日常的に起きていた。茅ヶ崎市では、この対策として国道に平行する市道の建設を急いでいたが、ようやく整備が進んできた。

一方国や県では、藤沢バイパスと西湘バイパスを結ぶバイパスを建設して伊豆・箱根方面へ向かう車をスムーズに通過させて、茅ヶ崎市・平塚市における渋滞緩和を図ろうとした。このために造られたのが新湘南バイパスである。まず1988年に藤沢I.Cから茅ヶ崎西I.Cまでの区間が開通し、1995年には相模川河口付近の茅ヶ崎海岸I.Cまで延長された。当初の計画では茅ヶ崎海岸I.Cから高架のまま相模川を新しい橋で横断し、平塚市内は国道134号線の上を通過して西湘バイパスにつなげる予定だった。平塚市内の2階建て方式に対しは、騒音や眺望といった環境面に加え防潮機能といった防災面からも平塚市民の反対運動が起こった。また、相模川左岸のゴルフ場内の土地を買収する必要があり、その代替地確保の困難さから交渉も滞っていることから、新湘南バイパスを延長する目途は立っていない。

これに対し、国道134号線は藤沢市片瀬海岸から茅ヶ崎市柳島交差点までの4車線化が完成しており、渋滞の早期改善には新湘南バイパスに先行して国道134号線の湘南大橋を4車線化することが有効として、もともとあった橋の北側(ほぼ先代の湘南大橋の位置)に新しく2車線の橋を架けることになった。この新しい橋は2005年に着工され、2010年3月に供用が開始され4車線化が実現した。

 しかし平塚市内から西湘バイパスまでは2車線のままなので、この区間の渋滞はそのままである。国道134号線を管轄する神奈川県では、2007年に「かながわのみちづくり計画」の中で、平塚市高浜台から西湘バイパスに接続する大磯町東町までの3.2kmの区間の4車線化計画を発表し、2010年に一部着工している。金目川(花水川)を越える部分では、相模大橋と同様に既存の花水川橋の隣に新しい橋を増設する形で車線増が行われる予定で、すべてが完成するのは2014年度中の見込みである。


【鶴嶺高校 能勢博之】

写真1 新設された湘南銀河大橋(2008年撮影)



写真2 増設が進む相模川河口の湘南大橋(国道134号線)(2008年撮影)



写真3 新しい橋が供用され4車線化が実現した。(2011年撮影)




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