県央・県北地区6−02  たばこ栽培とジャスコ開店 (秦野市)    

2007年12月作成

 

1.日本三大たばこの産地・秦野

 1707(宝永4)年の富士山の噴火により大量の火山灰が積もった秦野盆地は、この火山灰土がたばこ栽培に適していたので江戸時代中期から葉たばこ栽培が盛んとなり、薩摩たばこ(鹿児島県)・水府たばこ(茨城県)と並び、「日本三大たばこ」の産地として全国的に有名になった。その原因の一つに、平沢村(秦野市平沢)出身の草山貞胤が栽培方法を改良して、増産と品質向上に熱心に取り組んだこともある。

 明治に入って戦費調達の目的で「たばこ専売制」が施行されると、1899(明治32)年に「秦野葉たばこ専売所(後の日本専売公社秦野支局)」が設置され、国家の後押しで本格的生産体制が確立する。こうして、盆地の大部分がたばこ一色となり、「秦野たばこ」は全国ブランドへと発展していく。


2.「たばこ祭り」とジャスコ開店

 戦後の1948(昭和23)年にスタートした「たばこ祭り」は、ただのがたばこの街であることをアピールし、戦争で荒廃・疲弊した人々を励ます目的で開始された。

 しかし、高度経済成長期の昭和30年代から市は積極的に工場誘致を行い、たばこ畑は工場用地へと姿を急速に変えていった。日立製作所・日産車体・神戸製鋼所などの重化学工業や、不二家やスタンレー電気などの食品や電気製品会社まで幅広い工場が進出している。

 さらに、国道246号の整備や東名高速道路の開通によって工業化・都市化に拍車が掛かり、1988年には人口が15万人を超えて東京・横浜のベッドタウンとなり、現在も増加傾向にある。

 1984年には300年以上も続いたたばこ栽培は姿を消し、廃止された専売公社(最後は、日本たばこ産業秦野工場)の跡地には大手ショッピングセンターのジャスコが誕生し、多くの人々で賑わっている。そして、2007年9月に開かれた「たばこ祭り」は60回の節目を迎え、盛大に挙行された。

【二宮高校 比佐隆三】

 


写真1 第60回たばこ祭り(2007年9月)

                                                        

写真2 秦野のジャスコ旧専売公社(現JT)跡地


写真3 2008年のたばこ祭りの様子


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