湘南地区13  平塚市内に駅が3つ? 駅と名のつくバス停(平塚市)

2012年8月作成

 

  平塚市内には東海道線の平塚駅しか鉄道の駅はないが、神奈川中央交通(以下、神奈中)のバス停に「駅」と付くところが2つあり、「金目駅」と「豊田本郷駅」がそれにあたる。これはかつて、国鉄(現JR)と神奈中が連絡輸送を行っていた名残である。

 連絡輸送は、今でも鉄道各社間で行われており、例えば、JR平塚駅で藤沢乗り換えの小田急線善行まで切符が買えるのも連絡輸送という取り決めがあるためであり、このような切符を連絡乗車券と呼んでいる。つまり、「駅」という名が付いたバス停では、バス会社が出札窓口を置き、バスの切符に加え、協定を結んでいる鉄道の駅までの連絡乗車券を買うことができた。また逆に、鉄道の駅でバスの駅までの切符を買うこともできた。このため、「(神奈中バスの)金目駅→(国鉄の)東京駅」とか、「(国鉄の)茅ヶ崎駅→(神奈中バスの)豊田本郷駅」という切符が発売されていたのである。このようなバスの駅は古くからの村落の中心に設けられたもので、1950年代後半の市町村合併で平塚市に編入されるまでは金目村・豊田村であった地域にある。

 実際には鉄道駅において自動販売機が普及したり、バスに切符を買って乗ることがなくなって、わざわざバスと国鉄の連絡乗車券を買う必要は薄れていったが、制度上は国鉄がJRになった1987年以降も連絡乗車券の発売は続き、平成になってから連絡輸送は取りやめられたという。

  神奈川中央交通で駅という名が付けられていた場所は、平塚市内でも他に「相模神田」があったが「駅」という名は既に外されている。一方、平塚市以外で「駅」という名が残っているバス停には伊勢原市の「大山駅」などがあるが、現在は連絡輸送は行っておらず普通のバス停となっている。

【小田原高校 能勢 博之】


写真1 現在のバス停「金目駅」(2012年撮影)



写真2 現在のバス停「金目駅」 (2012年撮影) 

 現在のバス停から右側の自転車が駐めてある場所にかけて、ベンチと小さな事務所が一体となった小さな建物があった。



写真3 現在のバス亭「豊田本郷駅」 (2012年撮影)  

 金目駅と同様にベンチと小さな事務所が一体となった小さな建物があった。

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